民謡
石畑由紀子
縁側
手相を診てあげる
と広げさせた手のひらの大きな皺は
私とそっくりで
ああ、こんなところにも
血が隠れとった
と同じ眉をして笑った
今年も本家から柿が届いたから
お前もすこし持ってけ
ああ、それと
おじぃにも供えてやれ
すねたら困るから
手のひらの細い細い溝に刻まれた唄を
西日の針が鳴らすので
おばぁは鼻唄で応えながら
この歳じゃもうよう行けん
眩しそうに
目を細める
剥いてくれた柿をほおばると
手のひらが濡れて
私の知らない懐かしい匂いがした
自由詩
民謡
Copyright
石畑由紀子
2004-02-12 02:31:52