午後と羽
木立 悟
地の水の円
宙の粒
暗くかがやく重なりの日
ひとりの涙が見つめる日
歩くたびに
すぎるたびに
ふと触れる厚い葉
空へ向かう音になる
こころもとなくにじむ晴れ間に
不可思議はふたつ折りたたまれて
ずっとひとりでいる歩みへと
水のように降りてくる
空へかえる空の色
鳥の歩幅
木々の影に満ちる水から
ふるえはゆるやかに引き返す
真上の星の火
かわいた水跡を噛みにくる
音を小さくゆるりとまとう
鉄でできた遊具たちの背
あなたがたがあなたがたであることが
わたしを惑わせつづけています
喜ばせてはすぐ悲しませ
強くそのままを求めさせます
ふりはじめた雨
ひるがえる音
今この星に生まれ得た羽
すべてを受けとめ 午後はさざめく