午後と羽
木立 悟





地の水の円
宙の粒
暗くかがやく重なりの日
ひとりの涙が見つめる日


歩くたびに
すぎるたびに
ふと触れる厚い葉
空へ向かう音になる


こころもとなくにじむ晴れ間に
不可思議はふたつ折りたたまれて
ずっとひとりでいる歩みへと
水のように降りてくる


空へかえる空の色
鳥の歩幅
木々の影に満ちる水から
ふるえはゆるやかに引き返す


真上の星の火
かわいた水跡を噛みにくる
音を小さくゆるりとまとう
鉄でできた遊具たちの背


あなたがたがあなたがたであることが
わたしを惑わせつづけています
喜ばせてはすぐ悲しませ
強くそのままを求めさせます


ふりはじめた雨
ひるがえる音
今この星に生まれ得た羽
すべてを受けとめ 午後はさざめく










自由詩 午後と羽 Copyright 木立 悟 2006-04-24 17:16:34
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