吉祥寺
カンチェルスキス


 

 

 月残る空 捨てられない孤高の魂 
 泳ぎきれないと溺れて沈むだけだ
 ボラの影 渡る橋
 横顔がやけに生える 夕日に
 俺が生まれる前から影は生まれていた
 時代遅れの文学青年の 手の清潔さ なめらかな爪先
 消えた 消えた 儚き夢は 退屈に花を飾る
 二つの目で見えるもの たちのぼる炎
 水の煙 部品の足りない傾いた机のような思い
 坂道を転がりきって 止まった場所で
 自分の流した血や傷を見て 笑う
 のぼってゆく胸の高鳴り 大きな声 しるしを持たない声
 広がっていって 空で桜 旋回する
 俺の足の裏の体重 何とかうまく重力と付き合えてる俺の足
 歩いていく はみだした土足で 方角のない地図の上を
 走り出す 映像は乱れて 俺はただの塊となって 
 俺はただの塊となって だんだんと弾丸となってゆく






 


自由詩 吉祥寺 Copyright カンチェルスキス 2006-04-23 21:17:21
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