遠くなる
さち

君と初めて会ったのは
病院の白い背景
小さな小さな君に
どんなに 喜びをもらっただろう
今はもう
上から見下ろされている

目の前に君が座ると
その背中で テレビが見えないんだ
あの頃はいっぱい抱っこしたのにね
触っていいものかどうか
ちょっと迷うんだ
広くなった肩幅も
なんか少し 照れるんだ

何か理由をつけて
ちょっとだけ触れてみたら
やっぱり 君の手触りだった
けれど
もしかしたら
知らない男の 手触りだった

きっと 私の知らない誰かが
柔らかく腕をまわす・・・
なんか切ない 手触りだった


自由詩 遠くなる Copyright さち 2004-02-09 16:17:40
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