グレープフルーツ、少女の抜け殻
夕凪ここあ

少女の一瞬揺れる甘い香は
   触れてはいけない儚い首すじ



涼しげな音を残したラムネの恋は
     置いてきたあの淡い夏の日



水を張り呼吸もできない
   金魚を放つ 嘘も知らない少女の右手



昨日にも明日にも君にも触れない
      未熟な手のひら桜の匂い



朝と夜の区別のつかない空の少女の
      境界線のうつろなしましま



放課後夕暮れの隙で脱ぎ捨てる
    チョークの匂いの 少年と少女の戯れ



一番星が夜の合図だった
   幼い日を忘れた今は空を見ずとも

     

あの日のしっぽをなびかせる
   夢のしじまは君のもとにも私のもとにも


短歌 グレープフルーツ、少女の抜け殻 Copyright 夕凪ここあ 2006-04-07 19:04:31
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