僕と君と麦わら帽子と本 第三章
こめ
彼女は僕が近づくのに気付くと
顔を下にしてうつむいてしまった
ぼくはそんなことは気にせずに
彼女に一歩一歩確実にどんどん近づいていった
そして彼女の隣におもむろに座り込んで
また何事も無かったかのように本を読み始めた
ぼくは一瞬なにをしてるんだ?っと
自分の行動に疑問をもったが
ぼくは一度疑問に思ったら
それを分かるまでやらなくては
納得いかない性格だった
他人からみればとてもやっかいな
性格だった
彼女は一瞬僕の顔を見たがまたすぐに
下を向いてしまった
ぼくは少し気になりながらも本に集中した
すると風に運ばれて彼女の
香水のにおいがただよってきた
ぼくとは無縁の香水の香りに
少し酔いしれた
がすぐに正気に戻った
すると彼女がおそるおそる
口を開いてふるえる口調で
「こんにちわと」話しかけてきた
ぼくは軽くおじぎをして「こんにちわと」返した
「いい天気ですね」
「そうですね、なんだか眠くなりますね」
「あなたは、いつもここで本を読んでいるんですか?」
「まあ、暇さえあればここに来て本を読んでいますね
あなたもよくここに来るんですか?」
「まあ、やることがないんで時々ここに来て風に当たっています」
「ふーん」というと言葉につまり
沈黙が流れた
僕はまた本に集中した
そして、気付いたら子供たちが母親と
手をつなぎながら夕陽に消えていった
ああ、また読み過ごしたんだなと
思って背伸びをしたら
なんと、まだ彼女は隣にいた
ぼくは唖然とした
さっきの会話からは時計がないが
だいたい2、3時間ぐらいは経っていたのに
彼女はその間ずっと隣にいたようだった
すると、彼女が笑って
「どうも、ホントに本に集中して、まわりが見えてないんですね」
「ぼくが本を読んでいる間ずっと、隣にいたんですか」っと
問いかけた
「はい、ずっとここにいましたよ、あっそろそろ行かなくちゃ
ごめんなさいちょっと用事があるんで今から帰ります」
というと彼女は立ち上がって荷物をまとめた
ぼくも立ち上がり荷物をまとめた
そして。彼女は「さようなら」といって
帰ろうとした
僕は彼女を引き留めて
「すいません、名前は何ですか」と問いかけた
「私ですか?私の名前はえーと桜沢エリカといいます、あなたは?」
「ぼく?ぼくの名前は沖島史彦」
「ふーん、良い名前だね、じゃあね、今度は色々はなそうね!
じゃあ、さようなら!」
そう言うとどこかえ消えていった
ぼくも家に帰った
「桜沢エリカか」
っとため息をつくと
今度公園に来るのがむしょうに楽しみになった