そっちからこい
黒川排除 (oldsoup)

真ん中に炎が盛んに燃え上がっていたが火種のようなものは見えなかった
真ん中とは田の真ん中
田とは手や足の汚い老父が昔いじくり回していたところ
ウィンドウズ
窓のことだったらもういくつも開いている
いくつも開いていておはようおはようおはよう
ターン
銃声か帰っていくひと
彼らは複数で一枚の背中を共有する
だったら彼ら
そのときわたしと
他の周りの盛り上がった土の部分をあぜ道と呼びながら
久しく花火をしていないね
夏じゃないからね
霊が出ると信じていた森を開拓している
ちょうど使い切った歯ブラシのように
森の中にあるたくさんの林の中にあるたくさんの木が反り返っていて
その上で天帝の歯が磨かれているらしい
その上で腕がぴんと伸びていて
その道が伸びているのと同じ方向へ平行に
じゃあなたも夜へ?
昼に生きているから
当然じゃないのかしら
スカートから足が出ていることは特に気にしないが
いや
彼らは
どこに行ったんだ?
紡錘のスタンプそれぞれに憎い憎い
上履きが浮いている田
上履きが浮いていることと炎が浮いていることは違う
その隙間からその故郷からみる青い空で
故郷は関係なくなる
ひとがいるのはそのときのことをぜんぶいったからだ
ひとがいるのはそのときのことをぜんぶいったからだ
ひとがいるのはそのときのことをぜんぶいったからだ
まだ長い道のりで長い足で長い足取りで
軽やか、蜂のように
春がやってくるんだが
その前に夏が終わらないといけないんだが
その割に田んぼはまだ四角くて
わたしはその周りをぐるぐるまわって
まだ
時計の針としては
充分な役目も
はたせないまま
砂漠とくにゴビ砂漠が
年々広がっています大変です
のニュースを小声でささやく
そんな前にだって
いくつか話をしたはずなのに
砕け散った冷凍食品が
だんだんと暖められる

ビリビリに破られた服が四散するその中央が懐
たとえ土であっても
たとえ断崖であっても
たとえ露地栽培のトマトであっても
懐であり
手を伸ばしてもいい場所
だそこはとても虫がいっぱいいるところ

焼きたい
パラソルを立てて
談笑しつつ焼き払いたい
そうした延命措置のぜんぶが
今燃えているんだ上で
今田植えをしている
老父の後頭部の上で


自由詩 そっちからこい Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-03-30 03:07:05
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