私と娘と星
海月

「ママどうしてキリンさんはお首が長いの?」
 
娘が今日始めてこんなことを聞いてきた
なんて答えればいいのだろう
明日になれば忘れてるのだろうか
私は娘に真剣に答えたフリをした

「きっと星へ近づくためだよ」

少し曖昧な答えに娘は適当に相槌を打ち
一人でママゴトを再開し始める







翌日

「ママどうしてゾウさんはお鼻が長いの?」

娘が今日もこんなことを聞いてきた
夕食の準備に忙しいから
昨日と似たようなことを答えた

「きっと星に触れるためだよ」

少しの合い間の後に娘はテレビを見始める







寝る間際

「ママどうして鳥さんは空を飛べるの?」

娘が寝る間際にもこんなことを聞いてきた
寝てしまえばきっと忘れてしまうだろうから
似たような答えを答えた

「きっと星へ住んでいるからだよ」

娘は瞼を閉じて眠りつく






幼稚園から娘が帰宅

「ママどうして私は星に行けないの?」

娘が泣きながら本気で聞いてきた
私の言う事をずっと覚えていてくれたらしい
友達にそんなことを話したらそんなことないと言われ
喧嘩をして明日星を持ってこいと言われたと娘が言った
私も娘の小さな体を抱いて泣いた

「きっとね きっと・・・・・
 死んでしまったら星へ行けるんだよ」

「死んでしまうって?」

「ママやお友達や先生とも離れることそれでも平気?」

「うう〜ん
 皆と離れるのはやだ」

「明日ねその子に言ってごらん
 きっとわかってくれるからね」

「うん」

今、娘は私と一緒におやつの星型のお煎餅を食べている













自由詩 私と娘と星 Copyright 海月 2006-03-29 18:43:40
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