少年予定
霜天
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思っている夜
君が伝えることも、君に伝わることも
世界から流されて、嫌でも耳にする情報よりは
ほんの少しのことだろうから
あだ名はいつから消えてしまったのだろう
君は世界の全てが斜めになる角度を知っていて
机の上に頬杖をつく、斜めの顔は未知の置物のようだ
あだ名は、いつから消えてしまったのだろう
それでも、少年(予定)は呼びかけて
帰ってくる道筋を期待している
石段に染み渡る声や、声
少し冷たいな、といつか呟いたことを誰も知らない
空の帰属が
結局、分からなかった
誰かと誰かの間で静かに戦争が始まり
結局、別れてしまった
同じこと、なのかもしれない
見覚えのある顔のようで
どこにでもある花のような
区切れない香りを
いつまで分け続けなければならないだろう
菜の花が今年も咲いた
僕らの好きな花だ
きっと君も同じだろう
同じ顔の世界の中で
それから
一日を終わらせると
明日を組み立てなければならなくて
君はひとつ、ため息を漏らす
少年、は躓かないこと
躊躇わない指先や、振り向かない足跡
確定されない景色は、どうしても思い浮かばない
全ての答えを急かされては
立ち止まるための足場もない
雨の日のバス停の、狭い屋根の下には
抱けないくらいの戸惑いが
詰められている
いつまでも予定でありたかった
今ここに抱いているものよりも
抱けなかった言葉の行方を
少年予定
名前のない頃に
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四文字熟語