おじいちゃんと雨
ゆうさく


僕が小さい頃
おじいちゃんは
100まで自分は生きると
言ってたから
あと半年で死ぬと言った
お医者さんは
嘘が大好きだね

病室は薄暗い
やせこけたおじいちゃんが
窓の方を眺める
背中からは
寂しさが溢れ出している

(雨がだんだんと強くなる)

僕はおじいちゃんに
精一杯の笑顔を見せる

(雨がだんだん強くなる)

病室から出ると
雨の音が
廊下に響き渡っていた

(雨がだんだん強くなる)

普段僕らに降る雨は
ただ降り注ぐばかりで
僕らは雨の想いなんて
わからないけれど
病院の廊下の窓から見る雨は
改めて見ると
寂しくて孤独
孤独な叫びは音となり
廊下にゆきわたる

(雨がだんだん強くなる)

病室は薄暗い
やせこけたおじいちゃんが
窓の方を眺める
背中からは
寂しさが溢れ出している

(雨がだんだん強くなる)

おじいちゃんの寂しさは
音も何も出ないけれど
確かに僕の心に
ゆきわたった

日が経つにつれ
どんどん強くなる
孤独の雨

雨はいつ
やむのだろう


自由詩 おじいちゃんと雨 Copyright ゆうさく 2006-03-25 00:45:23
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