ウニカウル
フユキヱリカ

 
メリーゴーランドにのりたいの
あの白い一角がいい


かげろうゆらめく
君の瞳に反射する
ひかり

昇華した太陽が
並んだ影を焼き付ける
アスファルト

蝉時雨を踏まないように
君がひとつ
またひとつ
止まりながら避けてあるく


何か言いかけても
おいで
おいでする
つむじ風に
かき消されてしまう



外人墓地を抜けて
濡れた緑の匂いが濃くなると
君だけの遊園地が
そこにある



君は、
溢れてしまわないの

なぜ黙ってるの



君の目には
夜が映っている
まっくらな
まっくらな森へ
碑を指す
輪郭のぼやけた二等星が
一筋の道を射す



その世界を守る
君は
幸せそうに微笑む



はしばみが
らくようするころ
樹の下で出会った
誰かを好きになって

やがて辺り一面
銀世界になれば
向こうの山のふもとに
まっしろい駿馬が
いななく


海岸通りのかわいた風がふく
あたたかい街にうまれおち
木枯らしにのることさえ知らない君に
君にも見せたいんだ


絹のようなたてがみの
首元に抱きついて
高鳴る小さな胸
破れそうで
苦しいくらい
駆けまわると

ぼくらをのせて
飛ばずに凍みた
綿雲の切れ間を
しずかに昇っていく


君の肩に掛けた
ショールが落ちると
眠ってた大地が
またひとつ呼気をする



しろい一角がいい
という君が眠る背中に
みつめられるのを恥じらう
星をあげよう


ウニカウル
きっと君を守る名前、だ


.


自由詩 ウニカウル Copyright フユキヱリカ 2006-03-20 03:09:39
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