だれも
空のようにはきみをなぐさめることはできない

満員電車のなかで
まわりがにおいをさけるように遠巻きにした
しろいこどもを背負った
みにくい老婆を
見たことがあります

地球はそのような
おさまりようのない
いくつものにくしみを
のせてまわっているのだ

けれど

だれも
空のようには
海のようには

あの老婆をなぐさめることはできないだろう

空がきょうもうつくしい
海はきょうもざわめいている
わたしをなぐさめるように
あのひとをなぐさめるように

どんなにくしみをさえ
いつかはしずめてくれるかのように