火曜下垂体
黒川排除 (oldsoup)

切り貼りの貼りの部分でくたばる依代

喉から手が出るほど近い火星

葉脈から抜いた腕どっちの青だ

別れ話の窓辺に砂州が現れ始めていた

鞠のような雲、雲のような都で落ち合う

鳥の骨遠ざかる東方はまだ雪という

切符に空いた穴を狐が横切り地べた

炎の前は火曜で下垂体であった

無闇なる月面街灯でも立てようか

沈黙のあと戦争のあといずれも荒野

ブルー・スクリーンの明かりで箱庭いつも朝

わたしはくらやみでおびえながら痣になる

ペリカンの口からあふれる液でよろける

ビルに垂直に建つビル特使の心臓ぶち抜く

乗りかかった舟に神も同席していた

プレハブ小屋の受話器に腕くくられたぼく

片目の象が砂糖の城で戦歴踏む

吹き抜ける風で癒える傷をもつ砂漠の昼

みんなして花屋の骨を覗きにくる

礼をするべく立っている父実に十年


川柳 火曜下垂体 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-03-10 22:54:12
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