沈丁花
LEO

あまくたゆたう
切ない香りは


匂いを纏い
瞼を閉じて
春の記憶を
捲ってみれば
ぼんやりと
聞こえてくるのは
あなたの足音でした

あの細い小路を
覚えているかしら

先いく背中を追って
ふたつめの角を曲がれば
いつもそこで
あなたが待っていた
 沈丁花に
 顔よせながら
そんな些細な喜びに
背中を追うのが楽しみで
時の去るのが恨めしく
あなたの背中を
いつまでも
微笑むあなたは
いつまでも


小路に刻んだ
ふたり季節の足音は
そればかりではないのに
沈丁花の香りが
強すぎたのでしょう

春が来るたび
匂いを纏うわたしは
あなたの背中を
探してしまうのです




自由詩 沈丁花 Copyright LEO 2006-03-10 18:29:37
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