教科書を、閉じる
望月 ゆき
油染みだらけの記憶のわら半紙提出期限をとうに過ぎ去り
透明なグラスの底を目にあててきみの星座を見る白昼夢
あの夏にきみが投じた問いかけのこたえをさがす 波のまにまに
教室のすみに 四月の屋上にきみの気配の消えぬ耳鳴り
不確かな明日へふたりをつなぐもの「さよなら」のそのあとの読点
魚になるにはどうしたらいいか書いてないから教科書閉じる
永遠を見つけるという宿題を永遠に続けてく覚悟で
短歌
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Copyright
望月 ゆき
2006-03-06 23:13:55
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