夜に強くて朝に弱いわたしは、
甘いカフェ・オ・レを飲みながらホットサンドをむしゃむしゃ食べる。

夜に弱くて朝に強いあなたは、
苦いブラックコーヒーを飲みながらサンドイッチをもくもくと食べる。

不思議なくらいに正反対だねと、
朝食の席で向かい合いながら悪戯っぽく笑ったら
磁石のＳ極とＮ極なんだよとあなたがフォークをタクトの如く振り回す。

なるほどなるほど、
Ｓ極Ｎ極だからわたし達は離れられないのかと納得したら
あなたは笑って苗字を磁石に変えようかと下らなく愛おしい相談を吹っかけてきた。

だからわたしは笑ったまま、
それもいいかもしれないねと「磁石」と名前の前に書いてみた
その苗字はなんだかものすごく不恰好だったけれど、とても愛おしかったのでした。