火曜日(歩行者注意)
霜天

歩行者注意
そう書かれた建て看板から
色が失われてからどれくらい経つだろう
すっかりと白い顔の少年がこっちを、見ている
注意を向けられたことなんて、ここにどれだけあるだろう
大きな予鈴
僕は飛び込む


速いこと、が
ここでも求められているようで
紙一面の数式とにらみ合う
始まりから二番目の
空はやっぱり青い
白、黒、次は赤
それを操る顔も見えない、通過中の群れ
クラクション
ブレーキの刻まれる音
いろんなものが
いろんなものへ
間に合いますように


いつもの呼吸で
今日も昨日に並ぶ
色を失うようにして
たまには笑っていたい、と思う
手を祈るようにして、僕の
歩幅をいつも見ている

歩行者注意
ぶつからないように


自由詩 火曜日(歩行者注意) Copyright 霜天 2006-02-26 01:59:54
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