君は、季節をはずれてしまった
たりぽん(大理 奔)

明日を、呼ぶ言葉は
失われてしまった
先程くべた小さな薪が
二人に残された最後の言葉

炎を囲んでいるというのに
横たわるこの夜の湿気は何だ
天赤道上の星の名を詠んでも
横たわるこの
暗闇は

  冬の蝉が鳴いている
  恋の焔をうたいあげる
  ちいさなひとかけら
 
  あの大きな夢のように
  樹液だけで生きていけたら
  静かな朝の、微かな気配が薫るだろう
  激しい夜の、嵐の恐怖が薫るだろう
  (寂しい冬の、土の味が薫るだろう)

薪の住処が崩れ
火の粉が天の川に溶け込んで
静寂の残像が
今日の手綱を引き寄せる

  蝉よ、もっと鳴け
  狂ったような孤独も
  お前ならわかるだろう
  ほんの一瞬の太陽を
  その濁った羽根に受ける喜びも
  ペルシアの宝石色した

  やさしい嘘も
  








自由詩 君は、季節をはずれてしまった Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-02-22 00:37:55
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