ANN
私は尖っている
ある面はつるつるのまんまるなのに
いつも微笑んでいたい
という願いが
そこにはある
ざらざらと大きくくぼんでいるところもある
このくぼみは
がっちり滑らないように
人を受け止めるため
金属製のところもある
昔 心を閉ざしていた時の
名残
鐘のように響くところもある
私は突然歌い出す
けれど私は尖っている
この面に止まろうとすると
傾斜で人は
するする落ちて行ってしまう
手のひらで叩き付けようとすると
その手は痛い目を見る
私がダイアルを回しているんじゃない
それは自動ドア
大きな箱の自動ドアが開けば
頻度は違えど どれかの面が出てくる
全部一つで 私になっている
私のこんないびつな形を
子供は 変なのー と喜び
家族は どうでもいいけど皿洗っといて と出て行き
女友達は 優しいね と安心しきり
男友達は つかみ所が無いよ と手を上げる
人は一面だけ見て判断する
それも私だから否定はできない
私もきっと一面だけ見て判断している
あるいは「変な形」だけ見ている
見たいところだけ見たり
あら探しをしたり
分析したり
自分で言うのもアレだが
一つの、
毎日変化する、
温度で色が変わる、
BGMの流れる、
小さな美術館の
芸術作品みたい