トワイライト
まどろむ海月


冷たい光が壊れながら
憧れる者の手のひらに落ちるとき
夢見る心は いっそう痛々しく
冬の真昼の傷を負う

さびしさの傷 悔恨の傷
むなしさの傷 かなしみの傷
降りてやまぬ傷は 風に舞い
私の地平を埋めつくし


 凍りついた痛みに
 ふりそそぐ 優しい 時
 雨にまぎれて去ってゆく 記憶
 それでも 忘れられぬ姿は
 いくつもの水滴の中に
 たたずんでいる

 すべては終ったはず
 それなのに
 したたる淡く細いみち


  とりもどしようのない
  過去は遠くただよい
 
  手を伸べてはならぬ
  若く美しい今は
  自身を知らず
  嘆きの薄闇に沈んでいる



雲の速さを砕き
きしむ翼を大きく広げ
すべての青を圧し
緑の鐘を遠く響かせ
あなたの春の朝は 始まる

今 空のせせらぎに揺れる
その暗さは黄昏の
ではなく 暁の

 愛しい人よ
 信じてほしい
 夕日は
 あなたの東にではなく

 私の西に









自由詩 トワイライト Copyright まどろむ海月 2006-02-16 13:19:30
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