海星(ヒトデ)
北乃ゆき

沈む深海の星は
うごめ
ただうごめ

お前も星ならば
夜の星たちと同じように
輝やこうとはしないのか

ぐにゃり


海星ヒトデうごめ
ああ
うごめいている
彼らは地球の底に生まれた運命に従って
ただ
うごめ
触手をゆらして
ただ
ただ
うごめいている


地球の底で
お前は何を見上げているのか
空の輝きばかりに
目を奪われた
わたし達を
あざ笑うかのように
うごめ
海星ヒトデ


夜空は美しいのだよ
とても美しいのだよ
純銀ぎんの輝きを持つ星たちに
私は心を奪われるのだよ


うごめ

ぐにゃりぐにゃり

お前は醜いのだよ
とても醜いのだよ
毒々しいからだを持つお前に
私は悪寒を覚えるのだよ


ぐにゃり
ぐにゃり


海星ヒトデうごめ

空を見上げて私は歩く
上へ上へと
明るい方へ

明るい方へ


海星ヒトデはただうごめ
底を見ない
私を
あざ笑うかのように

私は
美しいものを
手に入れる為に上を見上げる
みなくて良いものは
みないように
醜いものは
みないように


海星ヒトデうごめ

うごめきは
生命体の証
自分達は生命なのだと
それを証明するかのように
生命を見下すものの
愚かさを知るかのように



海星ヒトデうごめ
お前がみようとみまいと
自分達は
地球の底で
たしかに生きている

言わんばかりに






自由詩 海星(ヒトデ) Copyright 北乃ゆき 2006-02-16 01:24:52
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