海星(ヒトデ)
北乃ゆき
沈む深海の星は
蠢く
ただ蠢く
お前も星ならば
夜の星たちと同じように
輝やこうとはしないのか
ぐにゃり
海星は蠢く
ああ
蠢いている
彼らは地球の底に生まれた運命に従って
ただ
蠢く
触手をゆらして
ただ
ただ
蠢いている
地球の底で
お前は何を見上げているのか
空の輝きばかりに
目を奪われた
わたし達を
あざ笑うかのように
蠢く
海星よ
夜空は美しいのだよ
とても美しいのだよ
純銀の輝きを持つ星たちに
私は心を奪われるのだよ
蠢く
ぐにゃりぐにゃり
お前は醜いのだよ
とても醜いのだよ
毒々しいからだを持つお前に
私は悪寒を覚えるのだよ
ぐにゃり
ぐにゃり
海星は蠢く
空を見上げて私は歩く
上へ上へと
明るい方へ
明るい方へ
海星はただ蠢く
底を見ない
私を
あざ笑うかのように
私は
美しいものを
手に入れる為に上を見上げる
みなくて良いものは
みないように
醜いものは
みないように
海星は蠢く
蠢きは
生命体の証
自分達は生命なのだと
それを証明するかのように
生命を見下すものの
愚かさを知るかのように
海星は蠢く
お前がみようとみまいと
自分達は
地球の底で
たしかに生きている
と
言わんばかりに