ミクシー
モリマサ公

東京湾上空を固い翼たちが水平に旋回する

垂直にたちあがるオレンジのビルたちのすきまへ
ゆうぐれて輪郭を失ったそれぞれの窓へ
たえまなくなつかしい未来へ


たくさんのたましいがまどから神様のいないまちをみおろしている
たくさんのたましいがまどから神様のいないそらをみあげている


エネミー

「吹いてない風は風じゃない」とか
「流れない水は水じゃない」とか
わたしたちは理屈ではない
「だからなに?」
「あたし?」
しあわせじゃないっていえるしあわせ
「あたしたち?」
嗜好性があうという意味の価値観が死なない程度に傷ついている
見合うものだけに対するリセプターとしての感受性とその弱さ 
すてきなイメージだけがコードの早さに応じて無邪気にひろがっていく
俺いきてるの超たのしい
わたしたち超ともだちじゃん
とかいうたぐいのシャッフル
プライバシー
他者の不在
心の不具合
わたしたちのハンディキャップ
「わたしたち?」
わだちにハンドルをとられて軸がぶれる
焦点が定まらないままの前進
ティーンネイジャーなアブストラクト
ハイエンドなユーザーに
あわせられたチャンネルの中で
メロディアスなメッセージがいっせいに同じ速度で
それぞれの限界へとながれだす
高架に映る水面にカットインするシーバスの光
息を吸う 吐く ゆっくりと 
吸う ゆっくりと また吐きだす
あらゆるジャンルでばかみたいに善意だけがくりかえされている
つごうのいいときだけ神様はおんなのこみたくよびだされてる
ミュートをかけたくちびるのかたちその意味を読み取る
いろんないみで
それらはいつも祈りににていた


「ミクシーってなに?」





自由詩 ミクシー Copyright モリマサ公 2006-02-15 23:52:01
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