哀愁12才
ブルース瀬戸内

考え込んだって始まらないんだと

12才の少年は決心して

14才の少女に、

好きです、つきあってくださいと言って

年下に興味はないのと言われて

考え込んでしまって

自分は帰国子女だから本当は14才だとウソをついて

ウソつきは一番嫌いなのと言われて

考え込んでしまって

自分は数えで14才だと言って

じゃあ私は16才と言われて

考え込んでしまって

考え込んでしまって

でも

考え込んでも始まらないんだと

12才の少年は口笛でバラードを吹いて

給食当番の袋をくるくる回して

哀愁を感じさせようと

少女に背中を向けて

下校を演出しました。

気づくと何事もなく

家の玄関に足を踏み入れていました。

口笛が、ひときわ大きくなりました。


自由詩 哀愁12才 Copyright ブルース瀬戸内 2006-02-08 01:49:30
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