木立
あおば

  

ひとりで行く
風の吹く
木立の下
馬がつないである

走る姿
馬場のまわりには
人の群れ
速い馬に人気集まる

日曜の午後
レースがある
明るい服を着て
騎手が疾走してゆく
若やいだ顔つきの
男女の
歓声があがる

緑色の服を着て
林の方から
少年がかけてくる
馬の手綱をしっかり握り
紅潮した顔に
午後の日が映っている

少年の目に映るのは
幼女のすがた
なにかを叫んでいるが
風に消されて
聴きとれない

馬のひずめの
規則的なひびき
馬場を一巡り
幼女の目になみだ
待ちくたびれて
疲れてしまった






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作1980年頃、ロコの畔名義 


自由詩 木立 Copyright あおば 2006-02-05 23:15:18
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