キングギドラ仮説
クリ

 「オロチョン」
アイヌ語である。「火、勇壮果敢、激しい」そんなニュアンスが含まれる。
そして、一民族の呼び名である。
日本は単一民族の国である、と言い切った馬鹿がまた出てきた。鈴木某。
僕の母親はサハリン生まれだ。いや、樺太生まれ、だ。
だから、樺太に多くいた、オロチョン民族のことは知っていた。
「他にもいたと思うよ」と言っていた。
樺太=サハリンは、太平洋戦争の最中でさえ、日本民族、アイヌ、オロチョン、コリアン、ロシア人、他が混在して生活する、すごい土地だった。
これは、ほとんどの人が知らない事実だ。別の機会に書く。
「オロチョン」はアイヌ語であり、正式には「ウイルタ」を使う。
「オロチョン」は、アイヌのウイルタに対する差別意識が入った「蔑称」だからだ。
他にも「ニブヒ」と呼ばれる、これまた大陸系の民族がいた。
古代の九州には、有名な「熊襲」と「隼人」がいた。有名とは言え、謎の人たちだ。
単なる種族だったのか、一民族だったのか。
記紀に出てくる、蝦夷(えみし)なども、正確なところ、どういう人たちなのか分かっていない。
日本には、実に様々な人たちがいたようだ。
琉球=沖縄もかつてはひとつの国だった。

原則、地続きの国境を持たない、島国の国民としての日本人には、民族、人種、国籍の区別がつけられない。
だから「日本は単一民族」と言ってしまう、悲しいことだ。
第一、「日本人」のルーツさえ、全然分からないので、しょうがないのかな。


 「ヤマタノオロチ」
「ヲロチ」とも書かれる。「八岐大蛇」はもちろんずっと後から充てた文字。
今、吉野裕子さんの『山の神/易・五行と日本の原始蛇信仰』を読んでいるのだが、
古代の日本では山の神としての蛇信仰と猪信仰が重要な位置を絞めていた、という説を中心に進められる。
蛇は古代には「カカ」あるいは「ハハ」と発音されていた。
そこから様々な言葉が派生していく。
(山)かがし、案山子、香久山、掛かる
ホウヅキ(ハハツキ)、這う、ハハキ→箒。

そしてもう一つの系図がある。「チ」だ。「チ」は、古語で原始的霊格を示した。「血=チ」「命=イノチ」
そして「ヲ」を峰、峯、尾根(ヲネ)、「ロ」を助詞として、全体的に「峯の霊」とする。
「ヤマタ」は、「八股」で、「ヤ=8」は、一桁で「たくさん」を表す唯一の数だから、「たくさん分岐した」という意味になる、と思う。
「ヤマタ」は古代の地名でもあったが、それは次の節で書く。
ま、とにかくヲロチは蛇、やまたのおろちは怪物で、スサノオノミコトが退治するのだ。

 「」
「ヲロチ」は「オロチョン」なのである。もちろんひとつの説だ
旧約聖書の創世記などに登場する人名は、部族名であったとも見做すことができる。それと同じたぐい。
随分まえに、仲程さんから能登の音「ノト」もアイヌ語らしいと教わった。
オロチョン族がかつて北陸のある地方に上陸した。地名は「ヤマタ」あるいは「ヤマタイ」である。
すなわち、「ヤマタノオロチ」は「邪馬台のオロチョン」なのである。この行、私説。

ただし、古事記などのヤマタノオロチ伝説を言語学的な観点で見ると、
登場人物の名前、物がことごとく「蛇」なのだ。
これは多分、後から連想・脚色されてそうなったのだろう。
もっとも「邪馬台国」との関連が、複雑というか、ハチャメチャになる。あ〜あ。

そして、困っている老夫婦の話を聞き、大蛇を退治するのがスサノオノミコト、出雲系のヒーローだ。
これまた、琉球民族との関係が出てくるのだが、不勉強ゆえ、ここまで。


散文(批評随筆小説等) キングギドラ仮説 Copyright クリ 2004-01-30 03:26:24
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