プラットホーム
松本 卓也

発車までの十数分
自販機前の喫煙所
微かに増した北風に
肩を竦めて時を待つ

鼻先掠めた白い粉
灰と思って振り払う
甲に感じた冷たさが
春はまだだと告げてくる

肩に抱えて繰り返す
心を癒す暇は無く
巡る季節を傍観し
白髪を増やすだけなのか

今夜僅かに降る雪に
言葉を乗せて放ちたい
裏腹を理性が飼い殺し
明日を無難に生きるけど

頬に張り付く粉雪が
溶け落ちるたび流れ行く
涙を止める事なんて
きっと出来やしないから

メモを広げて書き落とす
滲んだ紙に連なった
僕だけが知る僕の声
風に運ばれ雪となれ


自由詩 プラットホーム Copyright 松本 卓也 2006-02-04 22:53:31
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