なんかおぼえてる
黒川排除 (oldsoup)

幼芽杳として育つ樹海は母

不穏な沐浴美女の背に文字かすむ国へ

観客の涙を誘いつつ植樹

あきらめて針山へ川つくるべく

電球ばらまく飛行船ひっつかんで投函

正気のサボテン連ね山脈は夜を飲み込む

射手の腕何も射抜かず空を掴もうとした

飼育員来て紙皿焼いて噎せて帰る

雪降ると疼く身体に馬車が着く

割って水にする自我誰も飲まずわれも踏まず

氷河寄せる長い手長い日腕枕

ブーツのこびとくらい仕事を引き受ける

地にめり込む金属わたしだと思う

けぶるうずたかき校舎の裾野で死をえがかれ

逃げ来てすぐチューバ吹かされ街は朝

電線が切れてのたうつのは少女

二重にぶれる川の仮想の流れを受け止める

ある日木箱に住む地球の直径とは裏腹に

土星の輪を見続けるために婚約する

オブラートに包んで飲む苦い星いつか


川柳 なんかおぼえてる Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-02-01 02:06:01
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