赤い胎
ミゼット

かたすみでねじれ階段きしむよう影の向こうにりんごがひとつ


ざらざらの砂の床にて白昼夢目覚めて部屋にはりんごがひとつ


マンションの五階の窓から落ちてきた青空に映えるりんごがひとつ


授業中そっと内緒で手を入れたかばんのなかにりんごがひとつ


私達がいつか死ぬのは蛇のせい臓腑の中にりんごがひとつ


思い出す悲しくなってまた食べる、飲み込む飲み込めりんごがひとつ


爆弾は檸檬じゃなくて赤がいい最終通告りんごがひとつ


明日の午後九時五分前生まれたの二十二になるわりんごがひとつ


短歌 赤い胎 Copyright ミゼット 2006-01-29 21:45:14
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