クシャ
松本 涼
無数の魚のウロコのカタチに
河の水面が風にざわめいている
そのすぐ脇では同じタイプの高層マンションを
数棟建設する工事の音が続いている
ここにはもうしばらくすると
4000人余りの人が越してくるらしい
私は通りすがりの人として
その風景をその風景として眺めていた
立ち止まった足元には一昨日の雪が
まだ少し残って固まっている
クシャ
っと踏んで私は歩き出す
無表情な言葉だけを
そこに残して
自由詩
クシャ
Copyright
松本 涼
2006-01-23 20:58:12