うそきみどり
黒川排除 (oldsoup)

その公園では立ち枯れて百年の昔

霞む象 連れ去られていくのはわたし

焼けたトーストごと母の血を噛む

軒しつらえる無数のケーブル吐く氷塊へ

太字五本線農道脇で息する場所

焼けくる夕空あおいセロハン撒き散らし

人形は母の形見母は父の形見

雨でなく湯がしとしと降り昼がかわいそう

いまだ寿命でない日にくるしく枯れる花

ぽっかり口を開けて港になる友人

背押されまるくなる幽体坂へふと暗みかかる

眠る草木の中で老婆と対峙する

まるで作戦鉢の並びに孤独を愛し

竹それぞれに失踪したき節を持つ

掲示見た欠員部品化して動く

脊椎香る死後なら良し虎など来たれ

病み抜いて無人の部屋に片寄る毛布

倒れた出入り口から地下へと店主が招く

取っ手部分のくらがりで休む閑古鳥

分かれ道や殺害現場にあるスプリッター

うそきみどり色の少女とべたべたする

長いエプロン引きずり河岸へいくバンシー

髄になるまで草の輪かけ続けてもらう


川柳 うそきみどり Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-01-20 21:36:09
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