無音
霜天

僕らはそこでひとつでよかった
呼んだ名前が君でよかった
繋がる世界と漏れる呼吸
ひとつの波、すり抜けるようにして
手探りで橋の、確認すれば
サイレント、どうしようもなく
僕らは欠陥の体だ

渡り廊下にまっすぐに
人は飛んでいくけれど
その先の空は明日には
行方不明になっている
サイレント、どうしても
僕らはそこで見つめ合って
指先の指先で確認する繋がりの


届かないと声は、声だけになって
聞こえない叫びは刻まれた紙に置いていく
サイレント、誰でも
まだここにいたい欠陥の体だ
僕らが生まれていくこの街では
そのたびに誰かがいなくなって
深呼吸と一緒に、呼んだ名前が君でよかった
サイレント
まだ眠れない一日に

僕らはそこにひとつでよかった


自由詩 無音 Copyright 霜天 2006-01-19 01:42:30
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