涙という名の勇気
和泉 誠

冬の夜だった
大声で泣いた記憶がある

涙でぐしょぐしょになりながら
鼻水をだらだら垂らしながら
言葉にならない叫び声をあげて

悔しかった
ただ悔しかった

失ってしまったから
もう二度と同じものには出会えないから

泣け泣け
もっと泣け

失ってそこまで悔しがれるものに
出会えるのは長い人生でも滅多にない

あの時流した涙は
今でも僕の胸を熱くする
何もかにも疲れてしまった心に
さあ、もう一度だと勇気の声をかける


自由詩 涙という名の勇気 Copyright 和泉 誠 2006-01-16 09:06:00
notebook Home 戻る