オクターブの双月夜。
たりぽん(大理 奔)


歩道の残雪を
踏みしめる律動
声でもなく
音でもなく
歌でもなく

  白い吐息に飽きて
  見上げる
  大気の天蓋
  一弦の
  その楽器

  透明におびえ
  凍れる水たまり
  踏み割られる
  一弦の
  その楽器

耳鳴りの
寒さがつつむ
残雪の孤独
立ちすくむ
月夜

誰も私の
名を呼ぶな
音楽だけになりたい
だから私の
名を呼ぶな



自由詩 オクターブの双月夜。 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-15 12:27:43
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