姿の源 Ⅳ
木立 悟




色もかたちも失うほどにかがやき
原への道を埋めてゆく花
光にひらく午後
花に閉ざされる午後


檻のなかの木が
檻を呑みこみ
空を覆う
たったひとりの森になり
水のめぐりを聞いている
生のめぐりを聞いている


晴れた夜の水滴
ふるえ ふるえる風景
降り下りるものへと向かい
腕ひらく ひとり
受けとめる ひとり
花の上に咲く光の花
血の上に浮かぶ染まらない羽
すべて見えるものの前方に
同じ姿をした見えないものが立っている
ゆくえ無き日
はばたく日
花ひらく ひとり
抱きとめる ひとり


背中の傷から水が流れる
流れつづけて羽が混じり
消え入りそうな土の上をゆく
水はどこまでも淡いむらさき
消えることのない傷と羽と
土のふるえを受け入れて
空の高みははじまってゆく










自由詩 姿の源 Ⅳ Copyright 木立 悟 2006-01-15 10:11:13
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