溶けのこる


くるまのなかからみわたした日常、って

やけにへいわで
しあわせな夢を見そうになった

うたたね

微睡んでいるあいだ
あの人がくるまをすすめたぶん

訊けないことがおおくなる

せかいにはきちんと
他人がそんざいしていて
あの人もそうなのだ
おもいしる

助手席は
すこしずつ
くいちがっていく視点

なんのたすけにもならない

ごめんね
だけ
重なって
そこらじゅうに溶けだしていく

ゆるされる、それも

しずかなへいおんは
しずかなままに形をなくす

くるまをすすめた、ぶん

まじわるてんがとおくなる
かなしさと夢で繋がるのは
しあわせなつくりばなし

手にふれる
つまさきから、なぞる

りんかくがうまれる

終着点
また、のびた


自由詩 溶けのこる Copyright  2006-01-12 21:32:06
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