ハンチャンの神様
AB(なかほど)

キルクルとスコットは僕の見える場所にいるはずなのに


忘れようとして忘れられるものは
そんなにあるもんじゃない
すぐに忘れることなんて別に忘れたくて忘れるわけではなく

キルクルはそんなときに側にいて
キったと思った次の瞬間
キったはずの思いを連れてやってきて
首をクルりと回してニカっとする


スコットはなかなかやってきてくれないが
たまに
とても気分のいい夕焼けとか
トイレの中からやってきて
それまでポっかりと開いていた隙間に
上手いこと心地いいものを置いて行く


スコットはとても有り難いので
勝手にスコット将軍などと敬称をつけたりもしているが
僕にとってはキルクルだって悪い奴ではない

一つのため息をつく合間にも
一本の煙草を銜える合間にも
一杯のコーヒーを飲み干す合間にも
一つの季節を過ごす合間にも
一つの命が燃やされる合間にも
君を忘れようとすることと
忘れられないと思うことと
ほんとに忘れてしまったんじゃないかと思えることと
やっぱりダメだと笑ってしまうような夜11時55分
なんかに
やってきてニカっと笑ってるキルクルだって
そんなに悪い奴じゃない


たぶん僕に宿るハンチャンの神様が
スコット将軍だけなら
僕の鼻は長くなり過ぎて起き上がることもできず
それから舌とどこかが長くなりすぎてニヤりとしか笑えなくなる

君を忘れようとすることと
忘れられないと思うことは
キルクルからのかけがえのない






自由詩 ハンチャンの神様 Copyright AB(なかほど) 2004-01-24 14:22:32
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