引き出しのなかでちいさな人が読むおおきな人のつくる天体





鱗粉を撒く蝶々を姉が追いその鱗粉を舐める妹


珈琲の苦さも世界のおしまいもかみさまのサディスムだからごめんね


死してなお国歌と定めし売女を歌う夜道のマッカートニー


隅のほうまで　日夜　赤虫　餌は中身のないことば逹


カッターをカチカチさせて保健室ここでは白い火事が見れます


圏外のサービスエリア出る頃に消える夕暮ハザード・ランプ


抗菌のボールペン握り立ち尽くす「折れば二人はしあわせになる」


爪を噛み吐き出してみたそのかたち９本分の指の慰め


蜂蜜をかけて闇夜に置き去りにしてよ首輪も似合わないから


追いかけた音符につまづく舌のこと蝶が探したつぎはぎの天国