永遠のかたっぱし
ZUZU

隣のクラスの美少女が
休み時間に
ざわつくしじまのなか
窓際のぼくの席までやってきて
ぼくの手をにぎり
これが
永遠のかたっぱしよ
と微笑んだ

美少女はそのまま
開け放した教室の窓から
えいやっと
飛び降りて死んでしまった
先生が静かに静かに
と手をたたき
古文の授業がはじまった
いろはにほへど
ちりぬるを

どうしたものかと
思ったけれど
お昼に学食へ行っても
にぎってしまった
永遠のかたっぱしが
気になってしかたがない
ZUZU君いいね
いいのもってるね
なんて
友達はあいかわらずうわべの付き合い

隣のクラスへいくと
空席に美少女のまぼろしが座っている
ぼくはポケットに
手をつっこんだまま
なんのまねだよ、とドスをきかせると
あら迷惑だったかしら
と美少女はにこっ
そうするとぼくはもうしどろもどろ
でもさ
もうかたっぽうはさ

美少女は答えるはずもなく
微笑みをのこして
きえいり
やがて一学期も
二学期も
三学期もすぎ
ぼくは手に永遠のかたっぱしをにぎりしめたまま
大学受験をし
就職活動をし
恋愛し
結婚し
子育てし
出世をめざし
仲間と酒を飲み
ときどき浮気して
なにかちがう
これはちがう
とさまよいつづけることになる





自由詩 永遠のかたっぱし Copyright ZUZU 2006-01-11 15:05:16
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