群青日和
本木はじめ
どれくらい寒がりかって?靴下は履いてお風呂に入ってるけど
高校生二年の僕とすれ違う冬の深夜のゆめのさかみち
爪はなぜあるのだろうかマニキュアを薬指だけ塗って出かける
薔薇色の薔薇をください夕映えの花屋の前の肉屋の店頭
「君は」とかふだんあんまり使わないだからあなたはげんじつだとか?
ぼくの目を奪うきみの目きみの胸わりとふわりと降ってくる象
珈琲は甘くなければ飲めないと言ったあなたの涙に蟻が
きみの目に映るすべてのものたちにそれよりのちのこうふくはなし
髪を切り過ぎた日曜いいこともあるのね空がこんなに青い
「美しいものだけを見て過ごしたい」「さっき孔雀を見たからじゃない?」
いずれ闇ひろがる野原に落ちている眼鏡があると呪文のように
不可思議なきみのハミング聴きながら自転車飛ばす群青日和