遺跡へ
こしごえ

魔法瓶に夜空をみたし
ほの明りの朝、遠足に出かけた

あいさつをしたら
光の丘で
化石だった風が
重く熟して
翼となった
種子
小さくまばたきをすれば
霧散している光へと
翼は乱舞したあと
一輪の青い花となった

血のさびた形質の
外観の列柱には
風雪に刻まれた
紋章のゆくえしれず

ここまでは、ながいこの道のりを
幾重にもちりつもった灰を乗り越えて
夜空でかわきを潤しては
舟で銀河を流れるありさま
とうとう星も尽きるころに
すいっと視界がにじみ、ここに辿りつき
一陣の清風

あとは、のこりの夜空を花へとそそぎ
光の海へと帰る面持ち




自由詩 遺跡へ Copyright こしごえ 2006-01-08 14:44:50
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