カラオケ・アレルギーは治るのか。
和泉 誠

「カラオケだけは勘弁」
「カラオケはちょっと…」
「人前で歌うの嫌いなんですよ」

世の中にはカラオケに拒絶反応を示す人種がいます。
そんな人達について私なりに色々考えてみました。

カラオケに拒絶反応を示す理由
その1…エセ音痴である
その2…ウケる曲を知らない
その3…恥ずかしがり屋

☆★☆その1…エセ音痴である☆★☆

<特徴>
その昔、親しい人に連れられてカラオケに来たけれど、
全然思うように歌えなくて恥ずかしい思いをし、
カラオケが嫌いになってしまった。
カラオケマイクを握った時だけ音程が合わせられなくなる。
自分は音痴ではないはずなのにカラオケに行くと歌えなくなる。
だからカラオケが嫌いだ。

<考察>
カラオケ機材によって音程の初期設定値は異なります。
多くの場合、市販のCDに収録されている曲よりも若干高いらしいです。
なので♭を使って音程を下げてみましょう。もしくは♯で上げましょう。
そもそも今から歌おうとしているのは、プロの歌手の歌なのです。
プロの歌手はそれでご飯を食べているんです。
誰にでも簡単にその歌を唄えるなら、歌手なんて職業は必要ないのです。
普通の人には出せないような声を出しているからこそ、プロなのです。
私たちはプロでも何でもないのですから、
大人しく自分が歌いやすいように音程を調整しましょう。

☆★☆その2…ウケる曲を知らない☆★☆

<特徴>
カラオケに来ても分厚い選曲表をひたすら眺めて、
いつまでたっても曲を入れない。
他人の歌っている姿を見ても、
さも興味なさそうに選曲表を眺めてばかりいる。

<考察>
音楽に触れないで生活する事は不可能になってしまった現代社会。
何かをするといつの間にか音楽が紛れ込んできて、
いつの間にか心に残ってしまう。けれどもカラオケで歌えない。
その理由はその曲を完全な形で知らないから。
カラオケで歌う時は完全な形を求められます。
けれども自分が知っているのはその曲の1番だけ。
面倒だと言わずに今すぐCDレンタルショップへ出かけましょう。
もう一つの理由は知っているけれど、みんなにウケる曲ではない。
時代遅れの演歌だったり、暗く絶望的なフォークソングだったり、
マニアックなアニメソングだったり。
その昔みんなにご披露して、どん引きされてしまった苦い過去を持っていたり。
カラオケでは、当然ながらテンポの速い流行歌が歓迎されます。
けれどもそれも最初だけ。
次第にみんなそれに飽き始めて、ちょっと変わった歌を耳に入れたくなります。
なのでみんなが流行歌でお腹一杯になった所を見計らって、
すかさずとっておきの自分の歌います。
これはある種ギャンブルです。
エキゾチックだと歓迎されるか。引っ込めと物を投げられるか。
一か八かのギャンブルです。とってもスリリング。

☆★☆その3…恥ずかしがり屋☆★☆

<特徴>
カラオケに来てとても楽しそうに他の人の歌を聴きます。
時には一緒になって口ずさんだりします。
けれども歌えと言われると必死で拒絶します。
じゃあしかたないと言われると軽い落胆の表情になります。

<考察>
恥ずかしがり屋とはつまり、内向的人間を指します。
内向的人間は初対面の出来事に対して何事にも消極的です。
けれども内向的人間のいい所は、それが初対面ではなく、
自分の中の一部であると感じられるようになった時、
外向的人間よりずっと自由に、しかも要領よくそれを行う事ができます。
なので恥ずかしがり屋の人はカラオケルームを
自分の一部として取り込んでしまえるように努力する必要があると思います。
そのためには何度も同じカラオケルームに通うのがいいかもしれません。
また同席するメンバーに対しても早期に警戒を解き、
自分の仲間なんだと識別できるように積極的に話しかけるのがいいと思います。


カラオケをしていると色々発見できておもしろいです。
上手い下手も大して変わらない同じ歌を唄っているのに、
どうして彼の時は歓声をあげて、
どうしてあの子の時はみんなトイレに立つのか。
自分が歌いたい誰も知らない曲を歌うとみんな選曲表を眺め、
あまりにもくだらな過ぎる流行歌の一つで盛り上がるのか。
アニメソングなんか歌うなよとブーイングしたかと思ったら、
みんなでそのアニメソングを熱唱したり。

そこには場の空気というものがあって、
音楽によって絶えずそれが変わるのです。
時には180度反転したりもします。
自分の歌がその場の空気を変えたと感じる時、
私は何故かそこに奇妙な快感を得ます。

なので私はカラオケ好きです。


散文(批評随筆小説等) カラオケ・アレルギーは治るのか。 Copyright 和泉 誠 2006-01-03 14:15:14
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