太っていて、驚くほど重い。
麻草郁

 全裸のこびと女を抱えてマンションの階段を昇った。
 最上階には住居があって、父親が住んでいる。
 僕は父親の注文したこびと女を届けに来たのだ。
 マンションのつくりは西洋ホテル風で、各階は商店やレストランになっている。
 ロビーのソファーに座っている舘ひろしが、怪訝な目で僕を見たのを憶えている。
 こびと女はなぜか裸で、太っていて、驚くほど重い。
 四階ほど昇ったところで太股が痛くなり、膝に力が入らなくなった。
 エレベーターの前に立っている白人女性の集団が邪魔で、エレベーターが見えない。
 足は腫れあがり、エレベーターはいつまで待っても来なかった。


自由詩 太っていて、驚くほど重い。 Copyright 麻草郁 2004-01-22 12:36:56
notebook Home