太っていて、驚くほど重い。
麻草郁
全裸のこびと女を抱えてマンションの階段を昇った。
最上階には住居があって、父親が住んでいる。
僕は父親の注文したこびと女を届けに来たのだ。
マンションのつくりは西洋ホテル風で、各階は商店やレストランになっている。
ロビーのソファーに座っている舘ひろしが、怪訝な目で僕を見たのを憶えている。
こびと女はなぜか裸で、太っていて、驚くほど重い。
四階ほど昇ったところで太股が痛くなり、膝に力が入らなくなった。
エレベーターの前に立っている白人女性の集団が邪魔で、エレベーターが見えない。
足は腫れあがり、エレベーターはいつまで待っても来なかった。