時間に線を引く
士狼(銀)

梯子が燃えるとき 時間は終わる

線を、引く
初めて泣いた日、
引き摺ったままの羊水で
始まる

一段 歩を進める度に
薄れていく
消しゴムで消せない、
それが条件
引き攣った跡 とか、掠れた色、

憎悪で歪んだ線ほど
強く残る
折れたクレヨンを持つ手は、
忘れたくない

色鉛筆でなぞった過去を
水彩で加工する 、思い出
隙間だらけの現実 を
油絵具で、塞ぐ

最期を見た 、 刹那
頭蓋の中で蝶が生まれる
炎を纏った翅で
梯子を、焼き 尽くしていく

時間に 線を引く
積み上げられた色さえも
灰に変えて

梯子が崩れるとき 星が抱かれる


自由詩 時間に線を引く Copyright 士狼(銀) 2005-12-29 10:53:02
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戯言と童話