ひょうたんのゆめ
馬場 こういち

昼休み 校庭の隅のひょうたん型の砂場で
下級生の少年たちが
そこらじゅうの砂を集め 水をかけ 
両手で叩いて固め 砂を積み
また砂を集め 水をかける

そうして
背丈ほどの 山ができた

少年たちは歓喜した

彼らの手による
この立派な仕事に この山に
名を与えようと決意した

意地の悪い上級生が やってきて
ひと蹴り ふた蹴り
山は簡単に崩れ 忽ちもとの砂になった

少年たちは悲しかった

ひとりの少年がこう言った

 「この次は もっと多くの砂を集めて
  もっとおおきな山をつくろう」

そうして少年たちは いま
町中の砂を 集める計画を立てている

校庭の隅のひょうたん型の砂場で
 


自由詩 ひょうたんのゆめ Copyright 馬場 こういち 2005-12-28 01:57:39
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