LONG AND WINDING ROAD
藤原 実

詩は住所不定だ
言葉の国に地図はない

だから
この道は
いそぐことのない道なのだ

 生きてゆくことは
 道化師になることだ
 永遠に夢みる
 道化師に------

だからぼくは
一編の詩から飛び立つ
一羽の鳥が運んでくるような
単純な魂が好きなのだ
  
 「わたしは発明しない
  わたしは発見する」
  
とピカソは言った
それから何百枚という絵に
サインした
でも
魂にはサインしなかった
だから
たどりつくことのない土地の
余白に
不意に彼のサインを発見したりする
世界のありとあらゆる所に
彼の署名を見る

言葉は葬列じゃない
死者のない埋葬地に
なんで魂がやどるものか

最初の一行と最後の一行の間に
塵のような奇蹟
が沈んでいる

だからぼくは
くりかえし くりかえし
この道を辿るのだ




  1998/03/21



自由詩 LONG AND WINDING ROAD Copyright 藤原 実 2004-01-20 20:07:53
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