石榴の宵
士狼(銀)

石榴は血の味 密の味

月の無い夜に
女を食べた、あの木製の詩人は
熟れた石榴を 銜えさせて
美味いだろうと、夜風に訊いた
共犯だぁね 、
硬花の指先はわたしの唇に触れ
睦言のように
秘密、
と水面に囁いた

桐の箪笥には
石榴がひとつ、 落ちている
血の飛沫の如き紅い実が、零れ

喰われたのは
石榴か月か 、 それとも

わたしだったか


自由詩 石榴の宵 Copyright 士狼(銀) 2005-12-11 11:29:29
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