芽、蘇生
たもつ

芽、夏の始まる頃
なだらかに繁茂し
雨戸のような
古い匂いのする部屋
少年は水棲生物の絵を描き
鉛筆の芯はそのために
おられ続けている
逝くもののために祈り
生まれるもののために祈る
それはささやかな毎日
というわけではないが
時として
生きるための手立てだ
部屋を満たす夕焼けの色に
溺れそうになりながら
少年は何のために
振り返ったのか




自由詩 芽、蘇生 Copyright たもつ 2005-12-06 19:03:59
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