ノート(冬の蛇)
木立 悟
道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた
ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言った
冬になればまた蛇は生まれる
少女は言った
同じ蛇が生まれるの
私は言った
わからない
けれども蛇が滅びることはない
彼に再び会いたいのなら
手のひらや涙で接しないほうがいい
彼はひとり
彼は冬
彼は言葉そのものだから
少女はまだ泣いていた
ガードレールの硬さが残る
蛇の腹を撫でていた
少女は言った
言葉なんて知らない
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連輪の蛇