煙突ふぉーりん
仲本いすら

真っ暗な筒、ひとりズルズルと降りてくる

あぁ、靴下がないな 枕元でいいか。

大きなリボンにぶら下がる 大きなプレゼント

さて、あと何件周れば終わるかな

袋の中を覗き見る。

あぁ、まだまだあるな 全部配りきれるかな

白い髭を摩りながら また暗い筒をよじ登る

ミンナの寝てる間に 幸せを運んで

さぁ、もうひとがんばり

誰かの笑顔が生まれるだけで

もう、私には十分なんだ。

そう言いながら彼は幸せを配る

その笑顔を見ることはできなくても

彼はにっこりと微笑んで私にこう言った

「次はキミの番だよ」と。

彼の差し出した手には

大きなリボンと それにぶら下がる小さなプレゼントがあった。

「頑張ってきなさい」

「微笑んできなさい」

ボクは今「それ」を抱えて あの人の下へ向かってる

もうすこしで着くから

寝て待っててね。


自由詩 煙突ふぉーりん Copyright 仲本いすら 2005-12-04 21:39:19
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