林檎葬
半知半能

(中央から濡れていく
     ひりひりと)

赤い林檎を剥いて
がぶりと噛み付き一口目
昨日の出来事
不思議な果実の甘さ が
歯に沁みる

涙が
(ひりひりと)

二口目
には 咽喉が焼ける
静かに出来上がった誰も居ない空間が
電撃ヲ走ラセル
一瞬だけ

がぶり


三口目を
飛ばして四口目 引火
追い駆けな かった
26時
電車の通る音 の様な  物
伝導熱の逃げ残りが空気に浮かんでは赤くなり
熟れて堕ちる前に甘く香る


がぶり がぶり が ぶ ri( )


五口目に虚空を噛む
戸 残った靴下 唇 
(芯は捨てないでね) 
果肉を嚥下して胸の中で六口目
通りすぎた酸味を惜しんで
泣いている 


がぶり
      赤い
 林檎
        不思議な
   味
 がぶり
    林檎
       赤い
      不思議な
  味
   がぶり
     不思議な
    林檎
       赤い
    味
    がぶり
 不思議な
   林檎
 味
赤い












短い回顧を
真空に閉じ込めて
三角コォナーに放る (gaburi)
簡単な葬儀
謝らなくても良かったのに

寄りかかった白い壁に
林檎の赤い爪
















自由詩 林檎葬 Copyright 半知半能 2005-12-02 22:48:20
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